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阿部 浩之; 下村 拓也; 徳平 真之介*; 島田 幸洋*; 竹仲 佑介*; 古山 雄太*; 西村 昭彦; 内田 裕久*; 大道 博行; 大島 武
Proceedings of 7th International Congress on Laser Advanced Materials Processing (LAMP 2015) (Internet), 4 Pages, 2015/08
短パルスレーザー(ナノ秒,フェムト秒)を水素吸蔵合金表面層に照射し、水素吸蔵能向上を目指す表面改質実験を行った。レーザー条件をパルス幅100fsec、エネルギー0.2-3.4mJ/pulseとして、水素吸蔵合金LaNiAl合金に照射することで表面の局所構造を変化させ、この吸蔵合金の初期水素吸蔵反応とレーザー照射との相関について調べた。その結果、フルエンスで2.0mJ/cm付近でのレーザー照射したサンプルは未照射サンプルに比べ、1.5-3.0倍水素吸蔵初期反応速度が速くなり水素吸蔵能が向上することを見いだした。これによりレーザー照射は水素吸蔵材料の表面改質に有効であると結論づけられる。
齋藤 広明*; 溝手 範人*; 植木 悠二; 瀬古 典明
JAEA-Review 2013-059, JAEA Takasaki Annual Report 2012, P. 57, 2014/03
ゴム材料の表面改質法として放射線グラフト重合法は有効な手法である。しかし、過度な表面改質はゴム本来の物理的特性を失うことにも繋がるため、ゴム材料としての役割に支障をきたす恐れがある。そこで、本研究では、グラフト率とゴム特性との関係を詳細に調査し、「ゴム表面の低摩擦化」と「ゴム特性の維持」との両立の可否について検討した。ゴム基材には、カーボンブラックを配合したアクリロニトリル-ブタジエンゴムシート、モノマーには、親水性モノマーであるメタクリル酸を用いた。その結果、グラフト率2%までであれば、破断強度や永久歪といったゴム特性に影響を及ぼさず、ゴム表面を低摩擦化させることが可能であることを見出した。
永田 晋二*; 山本 春也; 徳永 和俊*; 土屋 文*; 藤 健太郎*; 四竃 樹男*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 242(1-2), p.553 - 556, 2006/01
被引用回数:7 パーセンタイル:47.51(Instruments & Instrumentation)イオン注入は、材料表面の結晶構造・微細構造を変化させるとともに水素の吸蔵特性にも影響を与える。本研究では、単結晶金属へのガスイオン大量照射によりつくられる多孔質表面層における水素捕捉・放出機構について調べた。実験では、通常では水素をほとんど吸蔵しないタングステン(W)について、種々のイオン種(He, Ne, Ar, Kr, Xe)、加速エネルギーでイオン注入を行い表面構造,組成変化と水素捕捉・放出挙動への影響を調べた。実験の結果、イオン照射した試料表面層では、酸化物を伴った多孔質層の形成され、高濃度に水素が捕捉されることがわかった。また、水素の加熱再放出測定の結果から多孔質層における水素の捕捉は酸化物によるものではなく、注入ガスにより形成されたバブル,ブリスター,格子歪との相互作用が関係していることが明らかになった。
Zherebtsov, S.*; 前川 克宏*; 林 照剛*; 二川 正敏
JSME International Journal, Series A, 48(4), p.292 - 298, 2005/10
核破砕パルス中性子源水銀ターゲット容器材料の衝撃壊食に対する耐性は、接触液界面を硬化することが有効である。本報告では、硬化処理技術として、レーザー合金法の適用を試みた。容器候補材料である316ステンレス鋼に対して、Al-Si粉末を添付しレーザー熱衝撃を加えることで表層のみを合金化した。合金層厚さは、約100ミクロンに達し、硬度は基材の4倍程度になった。表層は、組成比の異なる4層から形成された。各層の形成には基材温度が大きく影響することがわかった。この知見をもとに、クラックフリーで硬度を4倍に上昇できるレーザー処理条件を確立した。
阿部 浩之; 内田 裕久*; 東 順人*; 上殿 明良*; Chen, Z. Q.*; 伊藤 久義
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206(1-4), p.224 - 227, 2003/05
被引用回数:21 パーセンタイル:78.49(Instruments & Instrumentation)パラジウム(Pd)は水素の吸放出反応により超高純度水素精製として利用されてきた。本研究ではこのPdの水素吸放出過程について、従来よりその応答性が良くなるように、イオン照射による表面改質についての研究を行った。イオン照射技術は表面改質としては良く知られている技術であり、Pdに対してその水素吸収能の向上を試みた。照射イオンは H, He, Arを用い、イオンビームエネルギー30350keV、照射量は0110/cmまで行った。その結果、イオン照射したPdは未照射に比べ、数倍吸収速度が向上した。この効果は、イオン入射エネルギーに依存することから、イオン照射により生成される欠陥の深さ方向の欠陥密度との関係によるものと考えられる。Pd表面層に生成された欠陥層は水素化物の核形成や成長に寄与し、水素吸収速度を高めていると推測できる。
明石 正恒*; 深谷 祐一*; 朝野 英一*
JNC TJ8400 2000-015, 46 Pages, 2000/02
普通鋼(SM50B), 耐侯性鋼(SMA490AW), 5%Ni鋼の研磨材表面における水素発生反応挙動は鋼種による差は確認されなかった。上記3鋼種に500C、1000時間の水蒸気酸化処理を施し、さび層を付与した。さび層は、普通鋼では外層がヘマタイト(FeO)主体、内層はマグネタイト(FeO)主体、耐侯性鋼は外層はヘマタイト(FeO)主体、内層はCrが濃縮したマグネタイト(FeO)主体、5%Ni鋼では3層構造で外層がヘマタイト(FeO)主体、中間層はマグネタイト(FeO)でいづれもAlが低濃度で混入し、内層若干Alが濃縮した高濃度Ni主体の層であった。このさび層付与の3鋼種のカソード分極曲線は、さび層なしの研磨試験片と比べてTafel勾配は変わらないが、反応を水素発生反応と仮定した時の交換電流密度は大きく増大した。いずれの鋼種も表面がマグネタイト主体のさび層で覆われた場合は、カソード反応が加速され、その腐食反応が加速された。
明石 正恒*; 深谷 祐一*; 朝野 英一*
JNC TJ8400 2000-014, 22 Pages, 2000/02
普通鋼(SM50B)、耐侯性鋼(SMA490AW)、5%Ni鋼の研磨材表面における水素発生反応挙動は鋼種による差は確認されなかった。上記3鋼種に500、1000時間の水蒸気酸化処理を施し、さび層を付与した。さび層は、普通鋼では外層がヘマタイト(Fe2O3)主体、内層はマグネタイト(Fe3O4)主体、耐侯性鋼は外層はヘマタイト(Fe2O3)主体、内層はCrが濃縮したマグネタイト(Fe3O4)主体、5%Ni鋼では3層構造で外層がヘマタイト(Fe2O3)主体、中間層はマグネタイト(Fe3O4)でいづれもAlが低濃度で混入し、内層若干Alが濃縮した高濃度Ni主体の層であった。このさび層付与の3鋼種のカソード分極曲線は、さび層なしの研磨試験片と比べてTafel勾配は変わらないが、反応を水素発生反応と仮定した時の交換電流密度は大きく増大した。いずれの鋼種も表面がマグネタイト主体のさび層で覆われた場合は、カソード反応が加速され、その腐食反応が加速された。
M.Celina*; 工藤 久明; T.J.Renk*; K.T.Gillen*; R.L.Clough*
Radiation Physics and Chemistry, 51(2), p.191 - 194, 1998/00
ポリメタクリル酸メチル及びポリイミドを、高強度パルス状イオンビーム源で発生させた500keVの炭素イオン及び水素イオンに照射した。パルス幅500nsecのパルス中に発生された500keVのイオンビームの材料中での飛程は数ミクロンで、エネルギー付与は0.1~5J/cm、パルス中の平均線量率は約10Gy/secである。温度上昇と放射線分解によるガス発生から表面には形態変化が起き、ミクロンサイズの空孔や繊維状構造が生成していた。高分子のパルスイオン照射が高分子材料表面の物理的修飾に有効であることが示された。
光量子科学センター
JAERI-Review 97-004, 62 Pages, 1997/03
本報告書は、大阪支所において平成7年度に行われた研究活動をまとめたものである。主な研究題目は、レーザー有機化学反応の研究と放射線加工技術の基礎研究であり、本報告書では以下の研究活動について詳細に述べる。レーザー光による物質変換、レーザー光による高分子の表面化学反応、放射線による微細加工、放射線による金属微粒子の合成、線量測定および照射施設の運転・管理。
一ノ瀬 暢之; 河西 俊一
Langmuir, 13(22), p.5805 - 5807, 1997/00
被引用回数:5 パーセンタイル:76.07(Chemistry, Multidisciplinary)四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体(FEP)フィルムを窒素置換した亜硫酸ナトリウム水溶液と接触させ、フィルムを通してKrFレーザー光(248nm,18mJcmpulse)を照射した。照射フィルム表面は高い親水性を示し、XPSによる表面分析ではスルホン酸基がナトリウム塩として導入されていることが示された。フィルムを濃硫酸で処理し、ナトリウムを水素にイオン交換すると照射部分がN-ビニルカルバゾールのカチオン重合の触媒として作用することが分かった。これらのことから、本反応によりフッ素系高分子表面を強力な固体酸とすることができるものと結論された。また、フィルム表面上に超強酸サイトをパターニングできることを示した。
二川 正敏; 小貫 薫; 井岡 郁夫; 中島 隼人; 清水 三郎; 栗木 良郎*; 名越 正泰*
材料と環境, 46(10), p.669 - 674, 1997/00
熱化学水素製造法IS(Iodine-Sulfur)プロセスは、腐食性の強い硫酸及びヨウ素化合物を扱う過酷なプロセス環境を構成する。鉄硅素合金は硫酸中でシリカ皮膜の造成により耐食性を発現できることが知られている。耐食性は合金中の硅素濃度に依存し、硅素濃度が増すに従って耐食性は向上するが、脆化する。硅素濃度が基材で3wt%,表面で14wt%である表層傾斜組成珪素鉄合金をCVD表面改質処理によって試作した。改質材について95wt%硫酸沸騰中で最大300時間腐食後、腐食減量、SEM観察、EPMA元素分析等により耐食性評価を行った。改質材は、腐食減量では12wt%以上の珪素を含む珪素鉄合金と同等の耐食性を発現したが、表面観察結果では300時間後にシリカ皮膜のブレークアウェイが粒界に沿って見られた。粒界には改質処理過程で生じた微小き裂が存在した。
河西 俊一; 一ノ瀬 暢之
レーザー研究, 24(7), p.780 - 786, 1996/07
フッ素系高分子は耐熱性や耐薬品性などに優れているが、表面の接着性、親水性が乏しいことから表面改質の要求が高い。しかしながらフッ素系高分子は化学的に安定なため改質が困難である。そこで、レーザーの単色性や高強度性などによる特異反応を利用した改質の研究が行われるようになってきた。本報告では、レーザーを用いたフッ素系高分子の表面改質についての研究の現状をまとめるとともに、「レーザー有機化学反応の研究」で実施したフッ素系高分子表面のレーザー光化学修飾について紹介する。これは、フッ素系高分子を種々の化合物の水溶液や溶媒中でレーザー光を照射することによって、フッ素系高分子表面に化合物の持つ官能基を選択的に反応させる技術であり、これによってフッ素系高分子表面に任意の機能を付与することができるようになった。さらに、先端レーザーを用いた研究への展望を述べる。
鈴木 伸武; 河西 俊一
放射線科学, 39(9), p.337 - 343, 1996/00
レーザーを用いた高分子の表面改質について研究の現状をまとめ、解説した。まず、高出力の紫外光を発振することができるエキシマレーザーを用いた場合に期待される化学反応の特徴をまとめ、それらを高分子の表面改質に応用した時の従来法との比較を述べた。次にレーザー光化学反応を利用した表面改質、レーザーアブレーションを用いた表面改質の研究現状について解説した。さらに、旧大阪支所で行った光増感剤によるフッ素系高分子の表面改質の反応機構と技術的な特徴を紹介した。
一ノ瀬 暢之; 河西 俊一
Macromolecules, 29, p.4155 - 4157, 1996/00
被引用回数:10 パーセンタイル:44.8(Polymer Science)四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系高分子と水との表面光反応における波長、光源依存性、高分子依存性、酸素による反応の阻害効果を調べ、反応機構を考察した。193nmレーザー光で高分子フィルム-水界面を照射した場合、FEPなどのフッ素化率の高い高分子では表面にカルボキシル基が生成するが、四フッ化エチレン-エチレン共重合体(ETFE)のようなフッ素化率の低い高分子では表面反応は進行せず親水化は起こらない。FEP表面におけるカルボキシル基の生成量とレーザー強度の関係を調べると、カルボキシル基の生成量はレーザー光強度の1.4乗(ArF)および3.2乗(KrF)に比例した。これらのことから本反応は液体の水のレーザー光照射による水和電子の生成と高分子への電子移動によって引き起こされることがわかり、酸素による阻害効果もこれを支持した。
河西 俊一
EMC: electro magnetic compatibility: solution technology: 電磁環境工学情報, 0(90), p.24 - 29, 1995/10
エキシマレーザーの特徴を利用することによって、従来では困難であった高分子の表面改質などのプロセッシングが容易にかつ高度に行われるようになる。本解説では、リソグラフィへの応用の期待から多くの研究が行われたレーザーアブレーションについてこれまでの研究と最近の真空紫外レーザーや極短パルスレーザーによる研究例を紹介した。また、大阪支所の研究成果を中心にフッ素樹脂の表面改質へのレーザーの応用について解説した。
河西 俊一
入門自由電子レーザ, 0, p.194 - 202, 1995/08
大阪支所をはじめとして多くの研究機関で行われているレーザー化学の研究について、高分子材料の表面改質、光反応による合成の分野での最近の研究例を解説した。これらの研究の多くは紫外レーザーであるエキシマレーザーを用いたものであるが、これらの研究に自由電子レーザーを用いた場合の期待される成果と必要とされる仕様について述べた。
大阪支所
JAERI-Review 95-002, 62 Pages, 1995/03
本報告書は、大阪支所において、平成5年度に行われた研究活動をまとめたものである。主な研究題目はエキシマレーザー光照射による高付加価値化合物の合成、高励起状態からの化学反応、高機能性付与のための高分子表面改質、電子線照射による重合反応、線照射による金属微粒子の合成および線量測定の研究などである。
岡田 淳*; 一ノ瀬 暢之; 河西 俊一
高分子論文集, 52(1), p.66 - 68, 1995/01
被引用回数:3 パーセンタイル:25.14(Polymer Science)テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を希アンモニア水溶液と接触させエキシマレーザー光を照射することにより、表面に高い親水性が付与できた。この場合、ArF光の方がKrF光よりも有効であった。水との接触角は、未照射の106度からArF光の203Jcmの照射により31度まで低下した。X線光電子分光法(XPS)による表面元素比の測定から、PFA表面では光化学反応によりフッ素の脱離と、酸素及び窒素の導入が起こっており、接触角の低下とよい相関を示すことがわかった。表面反応層の深さはおよそ1.5~7.0nmと見積られ、走査型電子顕微鏡(SEM)観察からは、表面の形態変化を伴わない改質方法であることがわかった。
山本 博之; 馬場 祐治; 佐々木 貞吉
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 100, p.179 - 182, 1995/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Instruments & Instrumentation)COおよびNO雰囲気下(10Pa)でTi表面に対しAr照射を行い、照射後の表面についてXPSを用いて表面組成比および化学状態の解析を行った。この結果、NO雰囲気下でAr照射した場合には、得られた表面組成比O/TiはN/Tiの約5倍であり、酸化物(TiO)生成が窒化物(TiN)生成に対して支配的であることが明らかとなった。これは各々の化合物の生成自由エネルギーによる傾向と一致しており、NO雰囲気下における化合物生成が熱化学反応により支配されることが明らかとなった。一方CO雰囲気下では、照射後の表面組成比C/TiはO/Tiの約2倍となり、炭化物(TiC)生成が支配的となった。これは熱化学反応による傾向とは一致せず、これらの化合物生成にCOの吸着構造、あるいは照射中のC原子の表面偏析等、熱化学反応以外の効果が大きく影響することが明らかとなった。
河西 俊一
EMC: electro magnetic compatibility: solution technology: 電磁環境工学情報, 0(78), p.27 - 30, 1994/10
レーザーの化学利用研究の一環として、大阪支所で進めたフッ素樹脂の表面改質について解説した。まず、代表的なフッ素樹脂であるPTFEの接着性改善については、光吸収剤として芳香族系高分子を1~20%添加したPTFEにKrFエキシマレーザー光を照射することによって、接着性を改善することができた。本法で得られた改質効果は、従来法である薬品処理などに比べて、効果が高い、微細な加工が可能であるなどの特長を有している。また、溶融成形が可能なフッ素樹脂であるPFAを水中でArFエキシマレーザー光を照射することにより、親水性を付与することができた。この親水性発現機構および本技術の特徴を検討した。